月例でやっている天体観望会は、施設(木津川運動公園)の機材や、スタッフが自前の機材を持ち寄って参加者に見てもらう形でやってます。
でもスタッフが操作して導入した天体をただ見せるだけでいいのか、という思いがずっとあります。
月や主だった惑星、1等星なら参加者自身が操作して導入、ピント合わせした方が観望会に参加していると実感できるのではないか。
かといって、望遠鏡を触った経験が乏しい参加者に、自前のン万円以上の機材を操作してもらって万が一壊れでもしたら泣くに泣けないし。
そこで参加者にも自由に触って操作してもらえるよう、工作キットの望遠鏡を物色して今回これを作ってみました。
対物、接眼レンズをプラスチックの筒にはめ込んでいくだけの簡単な工作なので、小学校高学年なら10分ほどで完成できるキットです。
15倍と35倍の2種類があり、月のクレータに加えガリレオ衛星や土星の輪も見えるということで、35倍のキットを入手。
Amazonの評価では「よく見える」から「全然見えない」まで様々。
まあ、自分で実際に作ってみなけりゃわからない、ということで作ってみました。
望遠鏡を使い慣れていない人が望遠鏡を覗いて「星が見えない」ことの主な原因は、
①星を視野内に導入できていない
②ピントが合っていない
③接眼鏡を正しく覗けていない
という3点でしょうか。
この望遠鏡には簡単な照準があり、35倍ならそれで十分と思いますが、場合によってはストローで自作することも簡単そう。
①と②に共通することとして、しっかりとした三脚架台と微動装置は必須になると思い、施設機材のポルタ経緯台を使うこととし、アリ型用にDIYで1x4x32cmの木材片1本(30円也)と、100均でL金具、I金具各1個を調達。
アリ型が木製なので固定の際に木片に食い込まないようI金具で補強です。
32cmと長めの木材片は粗動ハンドルとしても使えるので(市販の金属鏡筒の望遠鏡なら鏡筒を直接つかんで粗動ができるが、プラ鏡筒では心もとない)。
さて、実際に使ってみると・・・今日の夕方西空に見えるのは木星と土星ぐらい。
木星本体は点像ではなく面積を持った小円とわかるが、木星の周りにハレーションができてガリレオ衛星が見えない!
薄雲でもかかっているのかと、miniBORG60EDに乗せ換えて約20倍で見ると、ハレーションはなく衛星がはっきり見えています。
土星の方はハレーションなく見えるが、土星の輪はかろうじてそれとわかる程度(まあ35倍ですから)。
また、鏡筒を軽く振るとカタカタと音がするのは、レンズがしっかりと固定されていない・・・アソビがあるのは明らか。
この望遠鏡キットを買い求めるターゲットは、子供に初めての望遠鏡を買い与える、望遠鏡の知識を持たない保護者ということになるかと思うが、正直言ってお勧めできる代物ではないようです。
しっかりした三脚と微動ができる架台の用意以前の問題点として、鏡筒内に植毛紙を貼って筒内乱反射を抑えるとか、レンズをはめ込むときにガタが出ないようスペーサーを入れるとか、初めて触る望遠鏡ではそんなことを思いつかないでしょうから。
実用としては月のクレーター観望専用になるのかな・・・ハレーションがあってもクレーターがすっきり見えるかなぁ。
今度機会があればコルキットのスピカを作ってみようか。
コルキットは半世紀以上前に作ったことがあるので大丈夫だろうけど、あれは鏡筒が紙管だしなあ・・・。