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2021年1月 7日 (木)

米国の政治に思う事

今朝食事をとりながらテレビを見ていて、米国発の2つのニュースに関心が向きました。

ひとつは昨年行われた大統領選挙の件で、選挙人による投票の承認手続きが行われている最中の連邦議会に、選挙に不正があったと主張するトランプ支持者が警官隊の制止を振り切り多数乱入、結果、手続きが中断され、トランプ支持者とみられる女性が1名死亡したとの事。(注:13時配信のニュースでは4名死亡になっています)

もうひとつは前日に行われたジョージア州の上院議員の決選投票の結果、2名とも民主党候補の当選が確実になり、バイデン新政権にとって懸念だった議会の「ねじれ」が無くなったとの事。

この、上院、下院の「ねじれ」が無くなったという事に、よそ事ながらホッとしてしまいました。

普段から私は日本において国会の「ねじれ」は決して悪いものだとは思っていません。

物事をなかなか決められない衆愚政治などとよく聞きますし、確かに緊急かつ重大な局面での「決断できない政治」は困ったものだと思っています。

しかし、この8年ほどの「ねじれ」のない日本の政治の中で、国会審議をろくにしないまま数の力によって大事な決定がなされてきたこと、それと共に国会審議を軽視する政権与党議員の驕慢ぶりが酷くなってきたことを思うと、むしろ「ねじれ」があったほうが、少数意見にも真剣に耳を傾け譲歩・妥協を生み出す一定の効果があるのではないかと思うのです。

そんな考えがありながら、今回の米議会の「ねじれ」が無くなったことへの安堵は、確かに矛盾するものです。

しかしそれは昨今に見られる米共和党の変貌ぶりがあるから。

自己の利益のためなら法も秩序も関係なし、といった振る舞いのトランプ大統領に「強いリーダーシップ」を重ねた挙句、明確な証拠を示せないまま、今回の大統領選挙で不正が行われたと主張するトランプ岩盤支持者と、その影響を恐れわが身の保身のために同調する、トランプ・チルドレンとも呼べそうな共和党議員が少なからずいる事。

かのリンカーン大統領を生み出した偉大な党の変貌ぶりを見ると、「ねじれ」では米国の民主主義がおかしくなってしまうのではないかと危惧していたものです。

今朝の2つのニュースを見た時、その思いは一層強くなりました。

とはいえ、大統領も上下両院も民主党一色になったままでは、やはりどこかで歪みが生まれるでしょう。これからの2年間で共和党がかつての良識を取り戻し、2年後の中間選挙では「ねじれ」が戻ってくることを願いたいものです。

それが同盟国である日本にとっても良いことに思えますので。

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コメント

同感です。

思想、哲学、政治、宗教など、人同士が向き合うあらゆる局面で、相手を「敵」ではなく「良きライバル」として切磋琢磨する「方向性の差異=ねじれ」は大歓迎です。既得権益の死守に躍起になった「一党独裁状態」が健全なはずありません。私は「多数決は害悪」とさえ感じることもあるので、特にそう思います。

書き込み有難う御座いました。(レスは、当該記事のコメント欄に付けさせて貰いました。)

自分も、全く同感です。全く中身の無かった安倍前政権なのに、彼を熱烈に支持する“鉄板層”(恐らくは4割近く村税しているでしょう。)の存在により、自民党は衆参で圧倒的な力を有し、其の結果として「自民党にとって不都合な事に関しては、きちんと説明を果たす事無く、誤魔化し続けたり、話を逸らしたりして、嵐が過ぎ去るのを待つのが当たり前の国。」となってしまった。此れでは、共産党が牛耳っている中国と全く一緒。

“民主主義の御手本”だった筈のアメリカも、トランプ大統領の出現によって完全に崩壊してしまった感が在りますね。正確に言えば、「多様性を認めず、自分達さえ良ければ其れで良い。」という風潮は、トランプ大統領就任のずっと以前から燻ってはいた。其れがトランプ大統領の4年間で、全土に及んでしまった。世界の指導者で真面さを感じるのはドイツのアンゲラ・メルケル首相等、極めて少数派になってしまった事に、強い不安を覚えます。

みゃおさん、おはようございます~
コメントありがとうございます。
仰る通り、足を引っ張り合う敵同士ではなく、建設的な提案がしあえるライバルとして「ねじれ」を生かしてほしいものですね。
同時に、少数意見の声も汲み取れる度量のある多数決であって欲しいものです。

giants-55さん、おはようございます~
コメントありがとうございます。
政治の面では常に「野党」を心がけているつもりです。
寓話の中の蝙蝠は、獣と鳥の戦いで強い方に付こうとして結局信用を失いますが、私の場合は弱い方に付く「蝙蝠人間」かも(笑)。
権力は長く続くと腐敗するのが常なので監視が必要ですが、自民党政権の方が圧倒的に長いので、私自身はどうしても左寄りのスタンスになりがちです(笑)。
しかし、民主党政権になった時は、政権運営の経験が乏しい面々なので危惧と共に多少甘めな評価をしていたのですが、
鳩山政権での米軍基地の「最低でも県外移転」の公約を破った時。
菅政権が福島原発事故で、当時「世界一厳しい放射能規制レベル」と誇っていた基準を、あっさり撤回してしまったこと(事故が無いときは厳しい基準にしていても、実際事故が起きたときその基準で対処しないなら何の意味がある)。
野田政権では当時の石原都知事の策略にまんまとはめられ、国会審議を尽くさないまま尖閣諸島の国有化を決めてしまい、中国漁船に海上保安庁の巡視船が当て逃げされたときも、国会に諮ることなく超法規的処置として、当該の中国船の船長を帰国させてしまったこと。
これら3つについては今でも許せない思いです。
政権が右であろうと左であろうと、それに阿って甘い対応をするのでなく、おかしいものはおかしいと思える国民でありたいものです。

知り合いにも居るのですが、全く同じ事をしているのに、自身が贔屓する対象がしたら全く問題視しないけれど、気に食わない対象がしたら絶対に許さないという人が、結構居たりします。対象がどうで在れ、駄目と思われる事をしたら駄目というスタンス、即ち「是々非々」のスタンスを保たなければおかしい。

悠々遊様が書かれている3人の元首相の“失態”、此れ等も批判されて当然だと思います。与党のトップとしての経験が無かったから・・・という面は在りましょうけれど、だからと言って、トップの座に在った以上、失態の責任は問われて当たり前。其れだけ、強い権力を有する立場なのですから。

giants-55さん
コメントありがとうございます。
ダブルスタンダードをしていると信頼を失いますね。
我が身を振り返ると・・・気が付かずやっているかもしれません。
特に子供が小さい頃、子供には「嘘をついてはいけない」と言いながら、自分では大人の事情で嘘も方便とか(冷や汗)。
 
コロナ禍、国民には大勢での飲食店での会合自粛、不要不急の外出自粛、仕事もリモートワークで、と言いつつ、自分たち政治家は例外扱いとのたまう輩と、そんな政治家を支持する約4割の支持者たちがいる日本という国・・・。
医療崩壊の前に、すでにこの国の道徳観念が崩壊しているような気がします。

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