新型コロナウイルス対策小物 まとめ
試行錯誤を重ね、アドバイスをいただきながら一応の完成を見た、星空観望会での新型ウイルス対策用小物。
観望会をしておられる方の参考になればと、まとめとして整理してみました。
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観望会でのコロナウイルス対策用小物を作ってみました。
新型コロナウイルスが広がる日常では、星空観望会も今までのようなスタイルでは行えなくなってしまいました。3密を避けるために参加者の定員を減らしたりと・・・。
観望会をやった経験者なら、使った後のアイピースのレンズが皮脂油で汚れているのを、クリーニングした経験がおありでしょう。顔の脂分がまつ毛によってレンズにこすり付いた結果です。この皮脂汚れが新型コロナウイルスを含んでいたら・・・まつ毛とアイピースを媒介に眼から感染し、観望会がクラスターの発生源にでもなったら笑い事ではなくなります。全くあり得ないと笑い飛ばせない怖さが、未知のウイルスの特性です。
アイピースを覗かない一番の方法は、電視観望でしょうか。カメラに望遠鏡を覗かせ、それをモニターで見る・・・望遠鏡に近づかない、一度に複数人で観望できる、モニターに写る天体を指しながら解説できるなどメリットがありますが、反面、ビデオを見ているようで臨場感が無い、という声もありそうです。
そこで。アイピースを安全に覗く観望が出来ないかと考えてみました。結論から言えば眼やまつ毛がアイピースレンズに触れなければいいという事。
出来るだけ安価で、しかも簡単に工作できるアイガードを考えてみました。
工具は100均で手に入るカッターナイフ、円切りカッター、定規。
材料は100均で手に入る2mm厚ぐらいのウレタンシートと硬質カードケース、クリップ、あとはプリンター用紙に入っているような厚紙ボール紙、トイレットペーパーの芯。接着剤として両面テープ、ボンドも100均のもので十分でしょう。
1)トイレットペーパの芯は縦に切り離し、円周に沿って20mm幅にカットしたものを複数作っておきます(仮称Aテープ)。
2)ウレタンシートも20mm幅にカットし長さはアイピースの円周分とします(仮称Bテープ)。
3)Aテープ1枚とBテープを両面テープで20mmぐらい重ねて繋ぎます。
4)これをアイピースに緩めに巻き付け、接着剤か両面テープで繋ぎながら、残りのAテープで補強していきます。少し厚みのある筒が完成。
5)厚紙を前方後円状にカットします。円の直径は4)で作った筒と同じか5mmほど大きく、四角い部分は円の端から10mmほど長く取ります(台座A)。
6)台座の円の中央に直径20~30mmほどの穴をあけます。
7)同じものを硬質カードケースでも作り(台座B)、台座Aと貼り合わせます。台座完成。
8)先ほどの筒と台座を接着します。筒の中心と台座の円の中心が一致するように接着するのが肝です。筒台座の完成。
9)台座と同じ寸法のものを作りますが、円の中心の穴は10mm未満で、その周囲を黒く塗っておきます。これをアイガードまたはアイカードと呼びます。材質は使い捨てなら厚紙で、繰り返し使うならカードケースから切り出します。工作はここまで。
アイピースに筒台座を被せ、台座の上にアイガードを重ねてクリップで固定すれば完成。
アイカードの覗き穴は観望時のひとみ径に近く小さくしてあるので、眼を近づけてもまつ毛がレンズに触れるのを防ぐ効果を期待し、大きなレンズ径のアイピースで起こりがちな、斜め視線によるブラックアウトを防ぐ意味もあります。
アイカードからレンズまでの距離が短いと感じるなら、筒の内側奥に細い幅のテープを1周巻いておくだけで、ストッパーの役割でその分の距離が稼げます。
観望者がアイピースを覗き込んでも、眼や顔が触れるのはアイガードだけなので、アイガードは観望者個人専用にそれぞれ1枚渡しておきます。
使い捨てなら観望会終了後に廃棄、繰り返し使うなら主催者が回収し、ぬるま湯に洗剤を溶かし入れて漬け置きしたうえで洗浄、乾燥しておけば次回の観望会でも利用できます。
自作した物の写真を掲載しておきますのでご参考までに。
写真下左から、筒側から見た状態、台座側から見た状態、アイガード。中段はストッパー役のウレタン製巻き帯。
アイピースの接眼レンズとアイガードが近い時は、このウレタン製巻き帯を筒の内側に仕込みます。
筒台座はアイピースに被せて置き、観望者がアイガードを被せてクリップで固定して使用。
今回作った台座、アイガード共通の寸法表。
台座とアイガードの寸法は自作した時のものですが、アメリカンサイズであればアイピースの太さが違っても筒だけそれぞれに合わせて作れば、台座とアイガードは共通で使えるはずです。
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悠々遊さん、こんばんは。
こうしてきちんとまとめてくださること、大いに感謝いたします。アイポイント調整用の巻き帯まで用意するとは芸が細かいです。観望会後のアイピースその他もある程度の消毒メンテが必要ですね。願わくば全国の観望会で運営のヒントにならんことを。
コロナ禍で大騒ぎしだした4月頃に免許更新に行ったのですが、視力検査のところで係官が一回一回アルコール拭きしていたことを思い出しました。鼻が当たるところを時々吹き忘れてたようでした(苦笑)。
あれも顔を測定器にべったり付けるため(眼鏡屋さんなども同じ)、必要な措置なのでしょう。ただ、完全に乾かしてから覗かないと目が痛くなったり、アルコールアレルギーの人が皮膚にダメージを受けるなどなどのトラブルもありそうです。展望台等に置いてあるコイン双眼鏡はどうしてるんでしょうね?
投稿: みゃお@ほんのり光房 | 2020年8月10日 (月) 21時35分
悠々遊さんは、天体関係のお仕事をしているのでしょうか?私は、よくプラネタリウムの観望会に参加していましたが、今は足が遠のいてしまっています。 レンズから遷るは、「まさか」とも思いましたが、最近は言われていないですが、最初は中国の眼科医の方がこの病気について拡散して下さったのがきっかけでしたね。
最初の頃、コンタクトレンズは危険かと思い、慣れない眼鏡で仕事にいったりしていました。最近はあまり目のことは言わなくなっていますが、確かに危険はどこに潜んでいるか分かりません。
凄いアイデアですね!!!! これ、私の通っていたプラネタリウムに伝えてもいいですか?
フェースシールドも、手作りマスクも、防護服も、国が情けないことになっても、みんな市民が知恵を出し合って、お金をかけなくても安全な方法を見つけ出していく!!! 素晴らしいですね~~~~。
投稿: felizmundo | 2020年8月10日 (月) 22時05分
みゃおさん、おはようございます~
貴重なアドバイスのおかげで、実用レベルまで来たと思ってのまとめです。
ありがとうございます。
とはいえ、3人寄れば文殊の知恵、関心ある方が見たら改善の余地はまだまだあるでしょうね。
ただ、筒台座1個10円前後、アイガード1枚5円弱のコストで、不器用者の私でも短時間で工作できる易しさには、胸が張れると思っています(笑)。
アイピースや望遠鏡周りの消毒も必要だと思いますが、表面に付着したウイルスの生存は、紙で2~3日、金属で3~4日、プラスチックで7日間と聞きますから、それ以上間隔をあけての観望会なら、神経質に消毒しなくても大丈夫かな、とも思います。
先ずは使用後の徹底した手洗いですね。
これからは双眼鏡の使いまわしも気安くできませんね。
投稿: 悠々遊 | 2020年8月11日 (火) 08時18分
ferlizmundoさん、おはようございます~
天体観望は趣味ですよ。自分が楽しいと思ったことを、他の人にも知らせたいというお節介から観望会をやっています(笑)。
鼻や口と違って眼は「穴」という自覚が少ないけれど、万一顔についたウイルスが、眼をこすることで感染することもあると聞いて、怖いな、と思った次第。
ご存知のプラネタリウムにお伝えいただくこと、大いに歓迎します。
拡散していただいて、観望者の安全に繋がればうれしいことです。
投稿: 悠々遊 | 2020年8月11日 (火) 08時27分
再び、悠々遊さんこんにちは。
低コスト・省力化で実用レベルなのは、予算や時間が限られるアマチュア観望会で必須ですよね。
期間を開ければ放っておいてもウイルスがなくなることは知ってますが、あえて消毒と書いたのは「観望会撤収時や自宅での片付け時にスタッフが感染する」ことが一番怖いと思ったからです。スタッフが高齢化してる現状では一番リスクが大きいでしょう。医療関係者を守らねばならないのと同様だと思います。
細かな改造として、台座側はクリップ止めるところ以外を数ミリ小さくしておくだけでも、頬が台座パーツに接触する事例が格段に減りそうですね。また、台座中央穴をできるだけ大きくすることで、ガードを外した際に台座空洞内に溜まった空気の流入出を大きくできるので、ウイルスや湿気の排出に役立つと思われます。またしばらくしたら色々アイディア出してゆきましょう^_^/
投稿: みゃお@ほんのり光房 | 2020年8月11日 (火) 10時30分
みゃおさん
再び、いらっしゃいませ(笑)。
好きだからこそできる、とはいえ持ち出しになるので、出来るだけコストと手間は押さえたいと思ってました。
スタッフに高齢者が多いので、念には念を入れて安全策を・・・確かにおっしゃる通りです。
私も高齢者(苦笑)。
これまでも風邪予防に帰宅後一番にうがい手洗いでしたが、コロナ禍後はより丁寧になりましたよ(笑)。
投稿: 悠々遊 | 2020年8月11日 (火) 17時22分